「ちゃんと話聞いてる?」
「聞いてるよ。でもそれ、そんなに大事なこと?」
こんなやりとり、思い当たることはありませんか?
夫婦関係のご相談をお受けしていると、
「どうして分かってくれないんだろう」
「同じことを言っているはずなのに、伝わらない」
そんな声を本当によく耳にします。
お互いに悪気があるわけではない。
むしろ、関係を良くしたいと思っているからこそ、ぶつかってしまう。
では、なぜ夫婦はすれ違ってしまうのでしょうか。
これまでいくつかの記事で触れてきた視点を、
今回は少し整理してお話ししてみたいと思います。
■「安心したい」という気持ちのズレ
人はそれぞれ、「これがあると安心できる」というポイントが違います。
たとえば、
・話をじっくり聞いてほしい人
・具体的な行動や結果で安心する人
同じ「安心したい」という気持ちでも、
その“形”が違うことがあります。
たとえば、
「今日は大変だったんだ」と話したときに、
「じゃあこうすればいいんじゃない?」とアドバイスが返ってくる。
話を聞いてほしかった側からすると、
「分かってもらえなかった」と感じるかもしれませんし、
提案した側からすると、
「助けになりたかっただけなのに」と感じていることもあります。
この違いに気づかないままだと、
「どうして分かってくれないの?」
という気持ちが、お互いに積み重なっていきます。
■母と父、それぞれの立場で見ている世界
特に子どもがいるご家庭では、
母と父で見えている景色が大きく異なることがあります。
母は日常の細かな変化や負担を肌で感じていて、
父は全体のバランスや役割を意識している。
たとえば、
母は「今日一日こんなに大変だった」と感じているのに、
父は「でも全体としてはうまく回っているよね」と捉えている。
どちらが正しい・間違っているということではなく、
“見ている場所が違う”
ということが、すれ違いを生みやすくします。
■「温度差」が生まれる理由
「こんなに大変なのに、どうしてそんなに平気なの?」
「なんでそんなに深刻に考えるの?」
こうした“温度差”も、よくあるテーマです。
たとえば、
一方は将来のことを考えて強い不安を感じているのに、
もう一方は「今は大丈夫でしょ」と感じている。
これは、
感じている負担の違いだけでなく、
・大切にしている価値観
・これまでの経験
・役割意識
などが影響していることも少なくありません。
つまり、
同じ出来事を見ていても、
“感じ方”が違うのはある意味自然なことでもあるのです。
■すれ違いを埋めるために大切なこと
では、このすれ違いはどうすればいいのでしょうか。
「もっと分かり合おうとすること」も大切ですが、
それ以上に大事なのは、
“違っている前提で関わること”
なのかもしれません。
たとえば、
「どうして分かってくれないの?」とぶつかる代わりに、
「私はこういうとき、話を聞いてもらえると安心する」と伝えてみる。
相手を変えようとするよりも、
「この人はこう感じる人なんだな」と
一度受け取ってみる。
その上で、
「私はこう感じている」と
自分の気持ちを少しずつ言葉にしていく。
それだけでも、
ぶつかり方が少し変わっていくことがあります。
■「正しさ」よりも「安心」を
夫婦関係の中では、
つい「どちらが正しいか」に意識が向きがちです。
でも本当は、
どちらもそれぞれの理由があって、
その感じ方をしているだけなのかもしれません。
たとえば、
「どっちが大変か」を比べる会話になってしまうと、
お互いにしんどさを証明し合う形になってしまいます。
だからこそ、
必要なのは「正しさを証明すること」ではなくて、
“安心できる関係をつくっていくこと”
「分かってもらえた」と感じられること。
「ここにいていい」と思えること。
そうした積み重ねが、
少しずつ関係の土台を変えていきます。
■最後に
もし今、
夫婦のすれ違いにしんどさを感じているとしたら、
それは関係がうまくいっていない証拠ではなくて、
“違いが見えてきている段階”なのかもしれません。
すれ違いは、
関係を壊すものではなくて、
関係を見直すきっかけになることもあります。
ひとりで整理するのが難しいときは、
第三者と一緒に言葉にしていくことで、
見え方が変わることもあります。
あなたの関係が、
少しでも安心できるものに近づいていきますように。
