難病児の親の性

こんにちは。心理カウンセラーの小野綾子です。

私の娘は5歳。とても元気で、よく笑い、よく動き、よく寝ます。ちょっと小食。

何度か記事にしたことがありますが、娘には先天性の難病があり、これまでに全身麻酔で行う手術を9回経験しています。
その過程の中で「今夜、持ちこたえられるか分からない」「2,3日が峠」「エクモを使用する可能性があるから、いつでも電話に出られるようにしておいて」等という説明を受けたり、実際に敗血症になったり、人工呼吸器をつけた状態で白目を向いて痙攣しながら泡を吹く様子を見るなど「この子は死んでしまうのではないか」と感じる瞬間を何度か経験してきました。

それらを全て乗り越えて、今元気で毎日笑っていてくれる娘は奇跡のような存在で、本当に目の前の日々が幸せなのですが、どうしても当時の経験から「いつか死んでしまうかも知れない」という不安が急に襲ってくることがあります。

日常の中でふと子どもの死がよぎる、難病児の親の性。

 

生まれてすぐに保育器に入れられ、緊急搬送され、翌日には手術をし、それから断続的に続いた2年間の入院生活。その後も続いた在宅での医療的ケア。
その時、ずっと一番近くで娘を見てきた私は無我夢中で娘のケアに当たっていたので、自分自身が置かれている状況に目を向ける余裕がありませんでした。

きっと沢山傷ついて苦しんでいたはずです。
産後の身体で毎日NICUに通い、搾乳した母乳を届け、沢山の管に繋がれた娘に何もしてやることもできず。
付き添い入院が始まってからも、狭い子ども用のベッドで添い寝の日々。
足を伸ばすこともままならず、夜泣きをすれば周囲の迷惑にならないように点滴に繋がれた娘を抱きながら病室の外に出てあやしながら廊下をうろうろする。
コロナ禍で面会もままならず、体調を崩しても熱を出しても付き添いを変わることができませんでした。

そのような日々の中で何度も突き付けられた娘の命の儚さは、今となっては想像を絶するものでした。

夜、娘があまりにも静かに寝ていると今でも呼吸を確認してしまいます。
危ないことに挑戦しようとする姿は応援したいと思う反面とても心配になってしまいます。

 

医療的ケア児や難病児の保護者に尋ねると、このような気持ちに共感いただくことがとても多いです。

ただでさえ大切な愛しい我が子の命の淵に触れる体験は心に大きな傷を残します。

では、その傷を癒していくためにはどうすればいいのか?

方法は人それぞれあると思いますが、一つは、その無我夢中で子どもの命が助かって欲しいと願い奮闘した日々の自分を労い、賞賛し、抱きしめてあげることだと思います。

「私、本当によく頑張ったよね」と振り返る作業が未来の希望に繋がっていきます。

 

もし、今も難病をもつお子さんのケアの日々に心が疲弊してしまっている方は「子どもの方が頑張っているんだから自分は弱音を吐けない」と思わず、自分自身の心を守る視点も大切にしていただきたいと思います。

お子さんの頑張りや、お子さんの命は、あなたの自己犠牲の上にのみ成立するものではありません。
どうか、お子さんを大切にするのと同じようにご自身を大切になさってくださいね。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
日常の中で感じたこと、カウンセラーとしての想いなど
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