いつもの場所に座って
先日、祖母が亡くなりました。93歳でした。
私の両親は共働きで、幼稚園に入園するまではいつも祖母の家に預けられていました。
幼稚園に入って以降も、土曜日は母が仕事だったので祖母の家に居たと記憶しています。
祖母はいつもキッチンの脇のテーブルに腰掛けていました。
家の中には座敷や、リビングにはソファもありましたが、それでもそのキッチンの脇に座っていました。
祖母はお洒落な人で、いつも長く伸ばした爪の形が整っていて、家に居るだけなのにお化粧をしていました。
そしていつもの場所でいつも同じタバコをずっとふかしていました。
私は祖母が大好きでした。
母親の代わりに沢山のことを教えてくれて、美味しい食事を作り、甘やかしてくれました。
そんな祖母が認知症になった時、私を見て「あんたは誰だったかね」と言った時、私の中で祖母はもう死んでしまったような気持ちになりました。
あの大好きだった、綺麗な、優しい祖母ではなくなってしまった。
私が引っ越して家族ができたこともあり、会うこともめっきり少なくなっていました。
そんな折に聞いた訃報に対して、正直に言うとあまり心は動きませんでした。
しかし、葬儀のために久しぶりに祖母の家を訪れ、沢山の弔問客に囲まれる祖母を見たとき、「あぁそうだ、祖母は素敵な人だったんだ」と、忘れかけていた祖母との美しい記憶が蘇りました。
人は年老いて変わっていきます。
でも、これから先も私の心の中にずっと残るのは、いつものあの場所で長い爪でタバコをふかす祖母の姿なのでしょう。
あなたが、あなたらしくいられますように

- くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
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くれたけ心理相談室 川崎支部
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