「すごいひと」になりたかった頃
昔々、なんだか「すごいひと」になりたかった。
どんな人を「すごい」と呼ぶのか、輪郭も描けていなかったのに。
同い年のオリンピック選手やアイドルを見ては、眩しくて、少し悔しくて。
「自分は大したことないな」と落ち込むくせに、それに見合う努力をするわけでもなく。
挑戦して失敗するくらいなら、最初から諦めたふりをしておこう。
そんなふうに自分を守りながら、内心ではずっと燻っていた。
本当は何かを成し遂げることよりも、何かに夢中になれる自分になりたかったのかも知れない。
けれどあの頃は、「結果を出すこと」だけが価値のように思えていた。
未消化のまま放置した「悔しさ」や「憧れ」は、静かに心の奥で燻り続けて、いつしか自分を拗らせる燃料になっていた気がする。
でも今なら思う。
あの拗らせも、私らしい成長のプロセスだったのだと。
「すごいひと」になれなくても、自分をすこしずつ理解し大切に思える今の方がよっぽど豊かな気がしている。
あなたが、あなたらしくいられますように







