心の中の「あの人」ともう一度出会う時間

― 私が大切にしているゲシュタルト療法 ―

カウンセリングにはいろいろな理論や技法があります。

その中でも、私が特に好きで、そして何度も助けられてきた心理療法があります。

それが「ゲシュタルト療法」です。

正直に言うと、名前はちょっと分かりづらいですよね。
初めて聞いたとき、私も「何それ?」と思いました。

でも実は、とてもシンプルで、とても人間的なアプローチなんです。


ゲシュタルト療法ってなに?

ひとことで言うなら、

「今、この瞬間に起きている心と身体の感覚を丁寧に感じることで、未完了の感情を完了させていく療法」

もう少しイメージで言うと、

心の中に
・言えなかった言葉
・飲み込んだ怒り
・伝えられなかった寂しさ
・終わらなかった別れ

そういった“途中で止まった感情”があるとします。

それを、もう一度ちゃんと体験し直して、
「終わらせてあげる」時間。

それがゲシュタルト療法です。


私が救われた体験

私はこの療法を受けたとき、
自分でも気づいていなかった“わだかまり”が、
心の奥にずっと残っていたことを知りました。

頭では理解していた。
「もう仕方ない」と思っていた。
でも、心は終わっていなかった。

そのときのワークの中で、
私はずっと言えなかった言葉を、初めて口にしました。

思い切り泣きながら。

終わったあと、
世界の見え方が少し変わったのを覚えています。

出来事は変わらない。
でも、私の中で“完了”した感覚があった。

あれは、私の人生の転機のひとつでした。


もうこの世にいない人とも、対話できる

ゲシュタルト療法の特徴のひとつが
「エンプティチェア(空の椅子)」というワークです。

目の前に空の椅子を置き、
そこに“大切な誰か”が座っていると想像します。

そして、話しかける。

言えなかった言葉を伝える。
本当は聞きたかったことを聞く。

そして時には、椅子を入れ替わって
“その人の立場”から答えてみる。

理屈で考えると、不思議ですよね。
ちょっと気恥ずかしいと感じる方もいるかもしれません。

でも、没頭していくと
本当にそこに存在しているかのように感じられる瞬間があります。

もう会えない人と、
心の中で再び交わる時間。

その時間が、
凍っていた感情をゆっくり溶かしていくことがあります。


なぜ、今を感じるのか

ゲシュタルト療法は「今ここ」を大切にします。

過去の出来事を語りながらも、
今この瞬間、身体はどう感じているか?
胸は?喉は?呼吸は?

怒りの奥に、本当はどんな感情があるのか。

悲しみの奥に、何を守ろうとしていたのか。

身体を通して感じると、
理屈では辿り着けなかった答えに出会うことがあります。


未消化の感情と、今の生きづらさ

大人になった今の人間関係に、
なぜか同じパターンが繰り返される。

あのとき終わらなかった感情が、
形を変えて今も顔を出していることがあります。

ゲシュタルト療法は、
それを“分析”するよりも、

「もう一度ちゃんと感じて、終わらせる」

ことを大切にします。


私がこの療法を好きな理由

この療法は、

誰かを責めるためのものではありません。
正しさを決めるためのものでもありません。

ただ、
「あなたの感情はそこにあったんだね」と
丁寧に扱う時間。

私はこの時間が、本当に好きです。

そして、
あのとき救われた一人として、
今はそれを誰かと一緒に体験する側にいることを、
とても大切に思っています。


もし、心の中に
言えなかった言葉や、終わらなかった想いがあるなら。

それは、ちゃんと完了させることができるかもしれません。

いつか、その準備が整ったときに。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
日常の中で感じたこと、カウンセラーとしての想いなど
思いのままにつづっています。お知らせも色々。
是非ご覧になってくださいね。

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