夫婦の間にも起こる「クロスオーバー」

ここまで、「スピルオーバー」という言葉について、ネガティブなものとポジティブなものの両方を書いてきました。

今回は、もう一歩広げて、夫婦の間で起こる「クロスオーバー」という考え方について。

スピルオーバーが、自分の中である場面から別の場面へ影響が広がることだとすると、クロスオーバーは、自分の状態が別の人にも影響することを指します。

例えば、夫が仕事で大きなストレスを抱えていたとします。

帰宅してからも疲れが抜けず、妻に対していつもより素っ気ない態度をとってしまう。

すると、妻も「何か怒っているのかな」と不安になったり、嫌な気持ちになったりする。

夫の仕事でのストレスが家庭に持ち込まれる。

これはスピルオーバーです。

そして、その夫の状態が妻の気持ちにも影響する。

こちらはクロスオーバーと考えることができます。

夫婦で生活していると、このようなことは珍しくありません。

一緒に暮らしているからこそ、相手の表情や声のトーン、言葉の少なさなどから、なんとなく相手の状態を感じ取ることもあります。

もちろん、いつも一方通行とは限りません。

妻が仕事や家庭のことで疲れていると、それを感じ取った夫も落ち着かなくなることがある。

反対に、一方が穏やかでいることで、もう一方も少し落ち着きを取り戻すこともあります。

夫婦の間では、こうした影響が日々行き来しています。

だからといって、「夫婦はいつも同じ気持ちでいなければならない」ということではありません。

むしろ、二人が違う状態でいることも自然なことです。

片方が疲れているときに、もう片方まで一緒に疲れ切ってしまう必要はありません。

「今日はちょっと余裕がないんだな」と気づきながら、自分自身は自分のペースを保つ。

それだけでも、夫婦の間で起きる影響の流れは少し変わるかもしれません。

夫婦カウンセリングをしていると、お二人のお話を伺う中で、「相手の言動」だけではなく、「二人の間で何が起きているのか」を見ることがあります。

誰か一人に原因があるというより、二人の間で影響し合いながら、今の状態がつくられていることもあるからです。

ただし、ここで一つ気をつけたいことがあります。

相手の状態に影響されることと、相手の感情の責任を引き受けることは、同じではありません。

それは、また明日詳しく書いてみますね。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
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