相手の感情に影響されても、その責任まで背負わなくていい

「スピルオーバー」や「クロスオーバー」について考えていると、最後に一つ気をつけたいことがあります。

それは、相手から影響を受けることと、相手の感情の責任を引き受けることは別だということです。

例えば、夫が仕事で疲れて帰ってきて、不機嫌そうにしている。

妻もその雰囲気を感じ取って、気持ちが重くなる。

ここまでは、ごく自然なことです。

一緒に暮らしている相手の状態に影響を受けることは、決して珍しいことではありません。

でも、そこから、

「夫が機嫌が悪いのは私のせいかもしれない」

「私が何とかして夫の機嫌を直さなければ」

と考え始めると、少し話が変わってきます。

相手の感情は、相手のものでもあります。

もちろん、自分の言動が相手に影響を与えることはあります。

だからといって、相手が感じていることすべての責任を、自分が背負う必要はありません。

反対に、自分が仕事で嫌なことがあったからといって、そのイライラを家族にぶつけてもいい、ということでもありません。

「影響し合っている」ということと、「相手の感情の責任を負う」ということは別の話です。

ここを分けて考えると、夫婦関係も少し整理しやすくなることがあります。

「夫が疲れていることに私は影響を受けている」

「でも、夫の疲れそのものを私が解消しなければいけないわけではない」

そんなふうに、自分と相手の境界線を意識することもできます。

そして、これはネガティブな場面だけの話ではありません。

相手の笑顔にこちらも嬉しくなったり、安心している相手と一緒にいることで自分も落ち着いたりすることもあります。

人は一人で完結しているわけではなく、周囲の人や環境から影響を受けながら暮らしています。

仕事と家庭もそうです。

自分と相手の関係もそうです。

影響を受けること自体をなくす必要はありません。

むしろ、「私は今、何に影響を受けているんだろう」と気づけることのほうが大切なのかもしれません。

スピルオーバーも、クロスオーバーも、私たちの日常の中では特別な現象ではありません。

今日仕事で感じたことが、家に帰ってからの自分に影響する。

家族と過ごした時間が、翌日の自分を少し支える。

自分の状態が、知らないうちに誰かの状態にも影響する。

そんな小さな行き来の積み重ねの中で、私たちは毎日を過ごしているのだと思います。

そのことを知っているだけでも、自分や家族を見る目が、少し変わるかもしれません。

今回まで5日間連続してスピルオーバーについて書いてみました。

是非ご自身の日常に当てはめて、見つめてみていただけたら嬉しいです。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
日常の中で感じたこと、カウンセラーとしての想いなど
思いのままにつづっています。お知らせも色々。
是非ご覧になってくださいね。

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