「優しさ」と「我慢」を混同しないために

2025年12月9日 2025年12月9日小野綾子

小野綾子

人との関係の中で、「優しくしたい」という気持ちはとても大切です。
けれど時に、相手を思いやるつもりが“我慢すること”にすり替わってしまうことがありませんか？
本心を押し込んでまで相手を優先し続けると、優しさではなく、ただ自分を疲れさせる行為になってしまうこともあるのです。

心理学では、相手の気持ちに敏感で配慮ができる人ほど、自分の心の声に気づきにくくなることがあると言われます。相手に不快な思いをさせたくなくて、つい「大丈夫」「気にしないで」と言ってしまう。でも本当は大丈夫ではなくて、心の奥に小さな痛みが残っていくこともあります。

優しさとは、本来“自分も相手も大切にする態度”のこと。
一方、我慢は“自分を犠牲にして相手を優先すること”。似ているようで、その質は全く違います。

優しさと我慢を区別するためにおすすめなのは、
「この行動は、あとで私の心が軽くなる？それとも重くなる？」
と自分に問いかけてみることです。行動した後に、温かさや納得感が残るなら優しさ。反対に、疲労感やもやっとした気持ちが残るなら、もしかしたら我慢が隠れているのかもしれません。

優しくありたいと思う気持ちはとても素敵です。
だからこそ、自分の心をすり減らさない形で優しさを届けられると、関係も自分自身もより健やかでいられるのだと思います。

小野綾子くれたけ心理相談室（川崎支部）心理カウンセラー

くれたけ心理相談室川崎支部
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