『頭を木魚に』を読んで

笑い飯の哲夫さんが書いた小説『頭を木魚に』を読みました。

哲夫さんは、お笑い芸人として活躍する一方、仏教への造詣が深いことでも知られています。仏教に関する著書もあり、仏教の教えをわかりやすく伝える活動もされています。

今回読んだ小説も、そんな哲夫さんならではの世界観を感じる一冊でした。

物語の前半は、とても理不尽な展開が続きます。

読んでいて、なんだかやりきれない。どうしてこんなことになるのだろうと思うし、納得できない気持ちにもなります。

そして、自分自身が理不尽なことに対して、思っていた以上に耐性がないのだということにも気づかされました。

物事には筋が通っていてほしいし、納得できる理由があってほしい。できれば、起きたことに見合った結果になってほしい。

そんな気持ちが自分の中にあるのだと思います。

もちろん、現実はそう都合よくできているわけではありません。

自分の力ではどうにもならないこともあるし、納得できないまま受け入れざるを得ないこともある。

この小説を読みながら、仏教の「諸行無常」や「諸法無我」という言葉が頭に浮かびました。

諸行無常とは、あらゆるものが絶えず変化し、同じ状態にとどまることはないということ。

諸法無我とは、すべてのものは独立して存在しているわけではなく、さまざまな条件や関係性の中で成り立っているということです。

自分が正しいと思っていることも、自分の思い描いている筋書きも、世の中の出来事を思いどおりに動かしてくれるわけではありません。

理不尽なことが起きるのも、物事が自分の期待どおりに進まないのも、そうした世界のあり方の一つなのかもしれない。

そんなことを考えました。

読み終えたあと、すっきりとした気持ちになれたわけではありません。

けれど、「これも諸行無常ということなのかな」と思う自分がいました。

そして、うまく言葉にするのは難しいのですが、「それでも生きる」という感覚が、うっすらと残りました。

すべてに納得できなくても、思いどおりにならなくても、それでも日々は続いていく。

そんな読後感です。

哲夫さん独特の言い回しや世界観も軽妙で、扱われているテーマの重さに反して、さらっと読み進めることができました。

理不尽さに心を揺さぶられながらも、仏教の教えや人間の生き方について考えるきっかけになった一冊。

ご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
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