できるようになることだけが成長ではない

お子さんの発達に関するご相談を受ける中で、「以前まではできていたのに、急にできなくなったんです。退化してしまったのでしょうか……」というお話を伺うことがあります。

確かに、これまでできていたことができなくなると、心配になりますよね。

例えば、以前は走れていたのに走れなくなったなど、身体機能に明らかな変化が見られる場合や、何らかの疾患が疑われる場合には、医療機関に相談することが必要です。

一方で、すべての「できなくなった」が、発達の後退を意味するわけではありません。

例えば、これまでは自分から挨拶ができていたのに、急にしなくなった。授業中も積極的に挙手していたのに、最近は手を挙げなくなった。

こうした変化の背景には、精神面の成長が関係している可能性もあります。

他者から自分がどう見られているのかを気にするようになった。間違えることが恥ずかしくなった。周囲の子と自分を比べるようになった。

以前はあまり意識していなかったことが気になるようになった結果、行動に変化が生じているのかもしれません。

周囲から見ると「できなくなった」ように映りますが、本人の内面では、それまでとは違う変化が起きている可能性があるのです。

もちろん、挨拶をしなくなった理由も、挙手をしなくなった理由も、それぞれの子どもによって異なります。成長による変化だと決めつけず、本人の様子や気持ちを知ろうとすることが大切です。

そして、もしその変化が精神面の成長に伴うものだったとしたら、今は「できなくなった」ように見える時期も、その子の成長過程の一つなのかもしれません。

周囲の目が気になって挨拶をためらっていた子が、やがて自分から挨拶することの意味を理解し、再びできるようになる。

人前で間違えることが怖くて挙手できなかった子が、自分なりの納得を経て、また手を挙げられるようになる。

そんなこともあるのではないでしょうか。

子どもの成長というと、昨日までできなかったことが今日できるようになる、という変化を思い浮かべがちです。

けれど、成長は必ずしも右肩上がりに進むものではありません。

できるようになることもあれば、一時的にできなくなることもある。立ち止まったり、遠回りしたりしながら、その子なりの歩みを進めていくのだと思います。

目に見える「できなくなった」という変化だけにとらわれず、その背景でどんな気持ちの変化が起きているのかにも、想いを馳せてみる。

そうすることで、これまでとは少し違った角度から、お子さんの成長を捉えられるかもしれません。

あなたが、あなたらしくいられますように

小野 綾子
小野 綾子くれたけ心理相談室(川崎支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室 川崎支部
心理カウンセラー 小野綾子のブログです。
日常の中で感じたこと、カウンセラーとしての想いなど
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